『君のためなら』
ぼくは今日、初めてこの学校に来たんだ。
初めて来たのに知っている君がいる。
(なんで?なんでここにいるんだ。いるはずがないんだ。僕の前にいるわけが無い。)
先生は僕を君の後ろの席に座らせた。
よりにもよってここだ。 なんで、
君は笑って話しかけてきた。名前を聞かれたんだ。さっき言ったばっかりなのに。自己紹介は聞くものだろ?
でも教えてあげたよ僕の名前。すると、 「いい名前だね!いいなぁ〜」
君はそう言って笑った。本当にそう思っているのか?覚えていないのか?なんで、そう言いそうになって慌てて飲み込んだ。
そんな夢を今朝見たんだ。そういうと、君は「え〜?なにそれ面白い笑」
「いいなぁ〜」といった。本当にそう思っているのか?だって君は思ってもいないようなことしか口に出さない。
ねぇ君は今何を思ってるの?我慢の限界で聞いてしまったことがある。
すると君は笑ったんだ。「え〜?急に何?急にそんなこと聞くなんて変だなって思ってるよ笑」そうか、そう思って居るのは本当かもね、でもどうしても君は嘘ばかりだ。
ある日海に遊びに行ったんだキレイな海で。君が一人で遊んでいたんだ。波に飲まれそうになりながら。
まるで天使のようだったよ。今まで見た中でいちばん綺麗な景色だった。
何枚も写真を撮ったんだ。何回もシャッターを押したんだ。君はどんどん溺れていく。君は助けてとも言わなかった。嬉しそうで、楽しそう。
こっちを見て笑ったんだ。そして言ったよね、僕に
「ねぇ、君もなんじゃない?いいもの見られてよかったね!」ああ、綺麗だよ。とっても。もしかして君も同じだったのか、

ついに君は見えなくなった。
僕の写真のホルダは君でいっぱいだ。
僕は今とっても幸せだよ。君がいてくれてよかった。そう思って家に帰ったんだもう居ない君の写真を見ながら。


数年後、僕は君のもとへ訪れた。 「なーんだ君もやっぱり同じじゃん」


『今日午前未明、××海から、2名の水死体が発見されました。2名は固く手を繋いだ状態で見つかったようです。
そのうち1名は、数年前の遺体では無いかと予想されており、身元確認を急いで行っています。』
君の予想通りだね。すごいよ、僕も君と同じみたいだ。
「リソウくん!こっち!早くおいで」
「待って!」
もう、早いなぁ、君とすごしているとオトギノクニノアリスの世界にでも迷いこんだみたいだ。
「待ってって!待ってよライくん!」
「ついさっきまで君の好きなスノードロップをつんでる途中だっただろ?」
「、、、そうだね。」
可愛いな、綺麗だ。
「ねぇ、好きだよ。」そう言うと君は嬉しそうに、「俺も!だから一緒に堕ちて」そう言った。










「いいよ。君のためなら。」