もう届かない君へ

そんなこんなで、入学式から約一ヶ月。
途中、圭斗に話しかけられ独り言をブツブツ呟くヤバい人だと誤解されたなんてこともあったが、なんとか平穏な学校生活をおくれている。

今日の朝礼では、先生から体育祭についてのお話があった。
なんと、この学校ではもう体育祭を行うようだ。
中学生のときは、毎年秋に行っていたから少し違和感がある。

「花純〜体育祭、どの競技にでるか決めた?」

心乃葉ちゃんにそう話しかけられる。

体育祭では、全員が出場する”全体種目”といくつかの中から好きな競技を選んで参加する”選択種目”がある。
選択種目は”ポール倒し”、”騎馬戦”、”綱引き”の三種類だ。
周りの人の話に耳を傾ける限り、騎馬戦や綱引きが人気のようだ。
選択種目も人数が決まっているから、この2つの倍率はすごいことになりそうだ。

そう考え、私は
「希望する人が少なそうな、ポール倒しにしようかなぁ。」
と答える。

「そっかあ。じゃあ、私もそれにしようかな!特にどれをやりたいってわけじゃないし。」

「じゃあ、一緒に練習とかできるね!やった!」

というわけで、私達はポール倒しを選択した。
予想通り、これを選択する人は少なかったようで、すんなりと決定した。

「ポール倒しとか大丈夫かよ。なんか危なそうじゃないか?」
そう、圭斗が話しかけてくる。

「そんなことないでしょ。さすがに、先生たちもそこらへんの安全面は考えてくれてるって。」

「まあ、そうかぁ?」

「危ないと思ったら逃げるし。競技よりも自分の安全優先するから。」

「とは言ってもな、体育祭は怪我すること多い行事だし、、。」

「心配性すぎるって。それに体育祭が全体が怪我すること多いならポール倒しが危険とか関係ないじゃん。」

「確かに、、。」

「じゃあ、私次の授業体育だから着替えに行くね!」

「おー体育頑張れー」

「ありがと!頑張ってくる!」

そう言って教室をあとにした。