もう届かない君へ

圭斗が交通事故で亡くなってしまってから、1週間。

今日はもう高校の入学式だ。
今まで圭斗とは、ずっと家から一緒に登校していたから、まだ自分の隣にある空間になれない。

「いつまでも下向いてたら圭斗に心配かけちゃうな、、」
そう呟いて気合を入れ直し、入学式の会場へと向かった。

会場では、同じ学校から来た子も多いのかガヤガヤとしていた。
私も、親友の百地心乃葉(ももちこのは)を探す。

「あっ、いた!心乃葉ちゃん!」

彼女はいつも、髪にトレードマークの桃色のリボンをつけているから人が多い中でも比較的早く見つけられた。

「花純〜〜!おはよ!」

いつも通り元気な姿に少しほっとする。
きっと圭斗のことは聞いているだろうから、すごく落ち込んでいるのではないかと思っていたのだ。

「花純、あの、その、、圭斗のこと大丈夫?」

そう、私の顔を覗き込みながら優しく聞いてくれる心乃葉ちゃん。
きっと、心乃葉ちゃんもすごく悲しいはずなのに、こうやって他の人を気づかえるところが私はすごく好きだ。

「完全に大丈夫、とは言えないかもしれないけど、お休みの間ずっと心の整理してたから、なんとか元気だよ!でも、私、圭斗が隣にいるのが当たり前だったからなんか変な感じがするの。」

「そうだよね。花純と圭斗くんいつも一緒にいたもんね。いきなりいなくなっちゃったし、結構つらいよね。」

「それに、告白まだできてなかったのに、、」

「そっ、か。間に、合わなかったんだね。」

「うん。最近何度も思うの。もっと早く気持ち伝えてればよかったな、って。もうそんなこと言ってもおそいのにね。」

「花純、、、」

「あ、先生の話はじまったよ!」