私の名前は水篠菜穂(みずしのなほ)。
高校2年生。
学校では明るいスポーツ系いじられキャラでやっている。
ボケかツッコミかで言うとボケだ。
このキャラも高校1年生からやっているからだんだん慣れてきたが、そりゃあ疲れることもある。
なんせ自分が作り上げた「キャラ」だから。
中学生まではキャラは作っていたもののまだ気が抜けた。
でも、高校に入っていろいろと気を使わなきゃいけないことが増えて学校で一息つけることはなくなった。
このキャラのため必然的に友達がすぐ出来た。
でも、それはひとりが好きな私にとってさほど嬉しいことでもない。
その日、私は数人の友達と教室で話していた。
金曜だったせいか、やけに疲れてしまいトイレに行くことを口実にどこか1人になれる場所を探した。(トイレにこもろうかとも思ったけど老廃物が排出されるようなところなので気が引けた。)
あ!図書館にしよう!あそこはここ最近通う人が減ってきており、今はもう誰もいないはずだ。
それに私は本が好きだ。
素の私を本の世界に引き込んでくれる。
「ガララララ」
図書館のドアを開けると、少し埃っぽい匂いがした。
居るのは司書の先生だけ。
私を知るものは誰もいない。
1歩踏み出して図書館内に入り、ふうっと一息ついた。
綺麗に並べられた本を見て回っていると、あ!これ、前から読みたいと思ってた本だ!
その本を手に取り近くの椅子に座る。
さあ読もうと本を開いた瞬間、
「お!珍しいねー!ここに生徒が来るなんて。」
「わっ!誰!?」
びっくりして硬直してしまう。
声の主の男の子は、そんな私を見てニコニコしている。
どうやら、私が座る前から前の席に座っていたらしい。
ネクタイが緑ということは私と同じ学年だろう。
ということは、またキャラを作らなきゃいけない。
同じ2年生となると万が一にも噂が広がることになるかもしれないから。
はあ、せっかく気を休めることの出来る最高の場所を見つけたと思ったのに、、、。
気お取り直して、キャラを作る。
「びっくりした〜!急に声かけるなよー!チビりそうになったじゃん!w」
彼はなぜか何も言わなかった。
ただただ、私の目をまっすぐ凝視する。
心の中まで見透かされているみたいでなんだか気持ち悪くなり、目線を逸らして言葉を続けた。
「おーい!聞こえてる?wていうか名前はなんて言うの?同じ2年生だよね?何組?」
今度は質問に答えてくれた。
「名前は澄香れいと(すみかれいと)だよ。何組かは覚えてないや。」
やっと口を開いてくれたので安心した。
「何組かは覚えてないってwなんでよw面白いね君。」
はあ、全然面白くないわ。
毎日学校来てるはずなのになんで自分の組を覚えてないんだよ。
変人か。
なんて、心の中で思いながら言葉を発する。
すると、その時、
「ねえ、そのキャラきつくない?」
彼が私に放ったその言葉にドキッとして、またもや硬直してしまう。
「え?キャラって?」
「だから、その本当の自分を押し殺して出来上がった嘘偽りの」
また、見透かされたような目。
正直イラッときた。
なんだ?その分かってますよみたいな言い方。
きつくないか?だって?きついに決まってんだろ。
こちとら好きでやってんじゃねえぞ。
内心、嵐のように暴言が飛び交う中、そんなことを言われたぐらいでキャラが崩れる玉じゃねえぞと立て直す。
「何を言ってるかわかんないなあ。あ!ていうか、私、先生に手伝い頼まれてたんだった!じゃあね!」
本を閉じて素早く席を立ち去ろうとした瞬間に腕を掴まれた。
「だめだよ。我慢したら。」
彼の、冷たいけど、どこか優しさを感じるような体温が手から伝わってきた。
それはすごく心地よく、もう少しだけここに居たいと思うような。
はっ!すぐに我に返って、かれの手を振りほどく。
「ごめん!急いでるから!」
私は駆け足で図書館を出た。
はあ。
なんなんだあいつ。
図々しい奴め。
そんな言葉が心の中に飛び交うが、なぜだか彼にそんなに嫌な感情は浮かばなかった。
そんな考え事をしていると昼休みの終わりのチャイムがなった。
やばい、急がなきゃ。
走ったけど教室に着いたのは授業開始から3分が経っていた。
「遅れてすみませんでした!」
教室のドアを開けて大きな声で言った。
「お前なあ、元気に遅れてくるなよ。」
どっと生徒たちが笑う。
私も照れたような作り笑いをして席に座った。
5時間目、6時間目が終わった。
その日の昼からの授業はあの図書館の男の子がなぜだか気になって全く身が入らなかった。
彼の正体を知りたくなって、2学年のクラスを片っ端から回って探したが、どこにも居なかった。
もう帰ったのかもしれない。
諦めて自分も部活に向かうことにした。
高校2年生。
学校では明るいスポーツ系いじられキャラでやっている。
ボケかツッコミかで言うとボケだ。
このキャラも高校1年生からやっているからだんだん慣れてきたが、そりゃあ疲れることもある。
なんせ自分が作り上げた「キャラ」だから。
中学生まではキャラは作っていたもののまだ気が抜けた。
でも、高校に入っていろいろと気を使わなきゃいけないことが増えて学校で一息つけることはなくなった。
このキャラのため必然的に友達がすぐ出来た。
でも、それはひとりが好きな私にとってさほど嬉しいことでもない。
その日、私は数人の友達と教室で話していた。
金曜だったせいか、やけに疲れてしまいトイレに行くことを口実にどこか1人になれる場所を探した。(トイレにこもろうかとも思ったけど老廃物が排出されるようなところなので気が引けた。)
あ!図書館にしよう!あそこはここ最近通う人が減ってきており、今はもう誰もいないはずだ。
それに私は本が好きだ。
素の私を本の世界に引き込んでくれる。
「ガララララ」
図書館のドアを開けると、少し埃っぽい匂いがした。
居るのは司書の先生だけ。
私を知るものは誰もいない。
1歩踏み出して図書館内に入り、ふうっと一息ついた。
綺麗に並べられた本を見て回っていると、あ!これ、前から読みたいと思ってた本だ!
その本を手に取り近くの椅子に座る。
さあ読もうと本を開いた瞬間、
「お!珍しいねー!ここに生徒が来るなんて。」
「わっ!誰!?」
びっくりして硬直してしまう。
声の主の男の子は、そんな私を見てニコニコしている。
どうやら、私が座る前から前の席に座っていたらしい。
ネクタイが緑ということは私と同じ学年だろう。
ということは、またキャラを作らなきゃいけない。
同じ2年生となると万が一にも噂が広がることになるかもしれないから。
はあ、せっかく気を休めることの出来る最高の場所を見つけたと思ったのに、、、。
気お取り直して、キャラを作る。
「びっくりした〜!急に声かけるなよー!チビりそうになったじゃん!w」
彼はなぜか何も言わなかった。
ただただ、私の目をまっすぐ凝視する。
心の中まで見透かされているみたいでなんだか気持ち悪くなり、目線を逸らして言葉を続けた。
「おーい!聞こえてる?wていうか名前はなんて言うの?同じ2年生だよね?何組?」
今度は質問に答えてくれた。
「名前は澄香れいと(すみかれいと)だよ。何組かは覚えてないや。」
やっと口を開いてくれたので安心した。
「何組かは覚えてないってwなんでよw面白いね君。」
はあ、全然面白くないわ。
毎日学校来てるはずなのになんで自分の組を覚えてないんだよ。
変人か。
なんて、心の中で思いながら言葉を発する。
すると、その時、
「ねえ、そのキャラきつくない?」
彼が私に放ったその言葉にドキッとして、またもや硬直してしまう。
「え?キャラって?」
「だから、その本当の自分を押し殺して出来上がった嘘偽りの」
また、見透かされたような目。
正直イラッときた。
なんだ?その分かってますよみたいな言い方。
きつくないか?だって?きついに決まってんだろ。
こちとら好きでやってんじゃねえぞ。
内心、嵐のように暴言が飛び交う中、そんなことを言われたぐらいでキャラが崩れる玉じゃねえぞと立て直す。
「何を言ってるかわかんないなあ。あ!ていうか、私、先生に手伝い頼まれてたんだった!じゃあね!」
本を閉じて素早く席を立ち去ろうとした瞬間に腕を掴まれた。
「だめだよ。我慢したら。」
彼の、冷たいけど、どこか優しさを感じるような体温が手から伝わってきた。
それはすごく心地よく、もう少しだけここに居たいと思うような。
はっ!すぐに我に返って、かれの手を振りほどく。
「ごめん!急いでるから!」
私は駆け足で図書館を出た。
はあ。
なんなんだあいつ。
図々しい奴め。
そんな言葉が心の中に飛び交うが、なぜだか彼にそんなに嫌な感情は浮かばなかった。
そんな考え事をしていると昼休みの終わりのチャイムがなった。
やばい、急がなきゃ。
走ったけど教室に着いたのは授業開始から3分が経っていた。
「遅れてすみませんでした!」
教室のドアを開けて大きな声で言った。
「お前なあ、元気に遅れてくるなよ。」
どっと生徒たちが笑う。
私も照れたような作り笑いをして席に座った。
5時間目、6時間目が終わった。
その日の昼からの授業はあの図書館の男の子がなぜだか気になって全く身が入らなかった。
彼の正体を知りたくなって、2学年のクラスを片っ端から回って探したが、どこにも居なかった。
もう帰ったのかもしれない。
諦めて自分も部活に向かうことにした。