その指に約束のキスを


真剣な顔で真っ直ぐ見てくる涼くんは、ふざけてる訳でも私をからかっていない事もわかる。

「…うん、いいよ」

私はカバンから携帯を取りだし、メッセージ無料アプリを起動する。

「優希姉ちゃんのQRコード読み取るね、そしたらスタンプ送る」

「うん、適当でいいからね」

ピコンっとスタンプが送られてきた。

【好き】という言葉が入ったうさぎのスタンプ。

「…こんな可愛いスタンプ持ってるんだね」

「えっ、そこ?」

「他に何かある?」

私は、スタンプの言葉を気にしてないフリをし、涼くんは少し不貞腐れた顔をする。

「優希姉ちゃんは、今アパレルで働いてるよね?」

「うん、涼くんは?」

「俺は…」

涼くんに渡された名刺を見て驚愕して言葉を失う。