「でもそれは、子供の頃の話…でしょ?

涼くんもこんな昔の事は忘れてちゃんと恋愛した方がいいよ」

誓約書を畳んで涼くんの胸元に押し、返す。

「俺は、ずっと今昔も優希姉ちゃんだけだよ」

「はい?」

涼くんは跪いて指輪をパカりとケースから開けて見せる。

「俺と結婚しようよ」

「はっ?」

あまりにも強引な涼くんに固まる私。

何事かと思ったマンションの他の住人たちが私たちを見る。

「どうしたの?」

「何事?」

「ここでプロポーズ?」

ヒソヒソと飛び交う話し声。

「涼くん!とりあえず家の中入ろうか」

私は涼くんの腕を掴んで急いで鍵を開けて家に入る。

「はぁー…ビックリした
やめてよ!外でああいう事したり、言ったりするの!」

「外じゃなければいいの?」

ニコリと爽やかに微笑む涼くんの顔はとても裏がありそうでこちらは苦笑いになる。