いつか永遠の眠りにつく日まで

「本気で戦争を仕掛けてくるのならば、建国記念のこの機に乗じるなりすればよかったのだ。わざわざこんな書状を残して、これから攻めると相手に知らせるなど。」



確かに、言われてみればその通りだ。

だがどういうことだ? デネブリスは戦争を重ね、国力を上げてきた国だ。



「恐らく、戦争を好んでしていたのは現国王の父王だ。」

「あ…。」



そういえばデネブリスは数年前に王が崩御し、王子が即位したと聞く。

(確かに、王が変わってからあまり戦争の話を耳にしないような気がする。)



「では、なぜリーリアを攫ったのですか…!」

「……強いて言うなら、死なせるには惜しいと思ったんだろう。」



王は座っていた椅子から立ち上がると、書状を側にいた側近に渡した。



「マーテル。戦争に向け準備を始めよ。」

「……はっ。」



王の考えることは、まだ俺には分からない。けれどただ願うのは、リーリアの無事だけ。

(どうか、無事でいてくれ…!)