いつか永遠の眠りにつく日まで

何事かと驚くマーテルを始めとする側近や兵を他所に、王は手に持った紙を見つめて言った。



「奴の所にいるのであれば、リーリアはしばらくは大丈夫だろう。」

「…それは、なぜですか。」

「これを見てみろ、マーテル。」

「……これは…!」



マーテルは王が手に持っていた紙を受け取ると、驚きと怒りが入り混じったような表情をした。

それは、宣戦布告の書状だった。



「変わり者の王のようだ。わざわざ自分が使っていた部屋に、それを置いて行きおった。」



王はますます可笑しそうに喉を鳴らして笑った。

何が可笑しいのかさっぱり分からないマーテルは、王に対して怒りさえ感じ始めていた。



「何が可笑しいのです! これでは…!」

「そう。これからルチェルナは、デネブリスと戦争になる。」



それが分かっていながら、なぜこの王はこんなに能天気なのだろう。

ましてや自分の娘が敵国に囚われているというのに…!



「気付かないか、マーテル。」

「何にです。」

「あの王はな、戦争を望んじゃいないんだよ。」



マーテルから書状を受け取ると、改めてそれを眺めながら、笑みを零した。