いつか永遠の眠りにつく日まで

「馬車の中へ。」



馬車からこちらへ歩み寄ってきたジャスティアに、馬車へ案内される。

馬車に乗り込むと、先に乗っていたレオ様にマントを手渡された。



「夜は冷える。そうでなくとも、ゴルディス山脈のこちら側はルチェルナ側より寒い。」

「…ありがとうございます。」



おずおずとマントを受け取ると、体に巻きつけるようにマントを着た。が、どうにもマントの留め方が分からない。

ルチェルナではまずマントは不要だし、何より城に籠りっきりだった私には無縁だったのだ。



「貸してみろ。」



向かいに座っていたレオ様が、マントを留めて下さる。

その様になんだか恥ずかしくなってしまって、私はただただ俯いていた。


どうしてこう、優しくするのだろうか。



「…ありがとうございます。」

「あぁ。」



不服そうな私を見て、レオ様はふっと一瞬、小さく笑ったような気がした。

(嫌いに、なりたいのに。)


ジャスティアが馬車に乗り込むと、ジャラジャラと太い鎖のような気がし音がした。

どうやら、港に着いたようだ。


馬車が動き出して、船に乗ったとき同様木の上を走るような音がしたかと思うと、ガラガラと石の上を走る音に変わった。