いつか永遠の眠りにつく日まで

「気分はどうだ。」

「食事まで用意していただき、ありがとうございます。」



真顔のままそう言うと、レオ様は眉間に皺を寄せて少し片眉を上げた。

私はもう、彼に隙は見せたくない。



「船酔いの心配はないようだな。」

「……えぇ。」



レオ様が言っていた『寝ておかないと大惨事』とは、船酔いのことだったようだ。



「あと十数分でデネブリスに着く。甲板へ出るぞ。」



そう言われて、私は内心非常に驚いた。どれ程長い時間涙し、眠り、そしてこれからのことを考えていたのだろう。


少なくとも丸1日は船に乗っていただろうに。

窓がなくて時間感覚が無くなりつつあるせいで、今の時間が把握できないのだから無理もないのかもしれないが。


レオ様に促されるまま、船の甲板へと出た。

甲板に出た瞬間、物凄い強さの海風が吹き付けてきた。あまりの強さに、ギュッと目を閉じる。


風の強さももちろんだが、私が驚いたのはその寒さだ。海の上だからなのか、それともゴルディス山脈を北に越えたからなのか。


ふと見上げると、左手にゴルディス山脈が見えた。こんなに間近にゴルディス山脈を見たのは初めてだ。

船に乗船した港町はゴルディス山脈にこれ程近くはなく、いつもよりもゴルディス山脈を近くに感じた程度だった。


見ると、山頂付近だけでなく山の中腹辺りまで真っ白だ。

さらにその上には、夕方と夜の狭間の空に、満天の星空が広がっていた。