いつか永遠の眠りにつく日まで

完全に盲点だったが、海を通れば山を越えずにデネブリスへと入れる。

(けれどそのためには…。)



「そろそろですね。」



ジャスティアが言うと同時に、馬車が停まった。次に馬車が動き出した時には、先程とはまた違った音がした。

(何の音…?)


まるで、木の上を走っているような音だった。

馬車はすぐに停まったが、今度は馬車全体を不思議な揺れが襲う。



「もう降りて大丈夫のようです。」



ジャスティアはそう言うや否や、馬車の扉を開けて外へと降りた。



「どういうこと…?」

「自分の目で確かめて見るといい。」



困惑する私を他所に、レオ様は馬車を降りた。

続いて私が馬車を降りようとすると、レオ様が手を貸してくださる。


渋々ながらその手を借りて馬車を降りると私はその光景に驚いて目を見開き、ついでに感嘆まで漏らしてしまった。



「お前は驚いてばかりだな。」



レオ様がそう言うのも無理はない程に、私には城の世界は新鮮で刺激的だ。

私たちがいたのは、船の甲板だった。


どうやら馬車ごと船に乗船したようだ。あまりの事態に、私は困惑を隠しきれずにいた。


(完全に逃げ場を失った…。)

その上船はいつの間にか出航していて、自力で港へは戻れなさそうだ。


(これが、デネブリスのやり方…。)