いつか永遠の眠りにつく日まで

翌朝、扉が開く音で目が覚めた。



「薬の影響とはいえ…、この状況でよくここまで寝れるものですね…。」



呆れ気味な声がした。扉を開けたのは銀縁眼鏡をかけていた男性のようだ。

起きるタイミングを失ってしまった私は、目を閉じたまま狸寝入りをする他なかった。



「そう言ってやるな、目は覚めているようだ。」



そう言うレオ様の言葉を聞いて、私はノソノソと起き上がった。

ドレスのまま眠ってしまったからか馬車で眠ったせいか、心なしか身体が痛い。



「よく眠れたようだな。」

「はい…。」

「まったく、随分と肝の据わった姫君ですね。」

「よせ、ジャスティア。」

「……失礼。」



銀縁眼鏡をかけた男性は、どうやらジャスティアというらしい。

椅子に腰掛け直すと、馬車の中をぐるりと見回した。何というか、華美な装飾だ。


私の隣にレオ様が腰を下ろし、その向かいにジャスティアが腰を下ろした。

扉が閉まると同時に、馬車が走り出した。



「…飛び降りようなどと、思わないことです。」



馬車の窓に付けられたカーテンの隙間から外を伺い見ていた私に、ジャスティアが言う。

(バレた…。)