いつか永遠の眠りにつく日まで

身体が異常に重い。目を開けようにも、瞼が異常に重くて持ち上がらないのだ。



「…どうやら、意識が戻ったようですね。」



前方から声が聞こえた。声からして、恐らく銀縁眼鏡をかけていた男性だろう。



「そのようだ。」



続いてすぐ側で声がした。この声は間違いなく、レオ様のものだ。


(私、どうしたんだっけ。)

レオ様とお話をしていて、それから…。



「手荒な真似をしてすまなかった。」

「……。」



声を発するのはまだ無理なようだ。

本当であればいろいろと問い詰めたいし、何より今の状況を把握したい。


唯一分かるのは、揺れ方からして馬車に乗っているらしいことだった。

(何年ぶりかしら…。)


そんな呑気なことを考えてしまった自分を、心の中で叱咤した。



「今日はこの辺りにしましょう。」

「分かった。お前はこのまま眠るといい。体の自由が効くようになるのは恐らく夜明け頃だろう。」



最後は私に向けて言った言葉のようだった。


その会話の直後、揺れが止まった。

座っていた私の身体を、恐らくレオ様が椅子の上に横たえる。


そして扉が開く音がして2度馬車が軋んだ後、今度は扉が閉じる音がして、そして静かになった。