いつか永遠の眠りにつく日まで

マーテルは、泣きそうな顔をした。



「マーテルも、私じゃなくてもっと別の方と…。」

「お前じゃなきゃ意味がないんだよ!」



私の言葉に被せるように、マーテルが叫んだ。


私は目を見開いた。

(私じゃなきゃ、意味がない…?)



「俺は、リーリアが好きなんだよ…! ずっと、幼い頃から…!」



その言葉に、私は驚きを隠せなかった。正直、近すぎて気が付かなかったのだ。


マーテルは兄のような弟のような、そんな存在だったから。

マーテルにとってもそうだろうとばかり思っていた。



「…ありがとう。」



私はそっと微笑んだ。



「私を好きになってくれて。いつも私の側にいてくれて。そして、ここまで来てくれて。」

「リーリア、止めろ…っ。」

「お父様にも、よろしく伝えて。…それから……ルチェルナ王国を、よろしくね。」



マーテルの手が、伸びてきた。

私はその手から逃げるように、橋をデネブリス城へと向かって走り出した。



「リーリア!」



マーテルが叫んだと同時に、橋の沿岸部分が崩落した。


私はマーテルを振り返ると、「ごめんなさい。ありがとう。」と呟いた。

その声が届いたかは分からなかったが、マーテルがその場にガクリと両膝をついたのが見えた。


私はもう、振り返らなかった。

ただ、デネブリス城を目指して、橋の上を駆けて行った。