いつか永遠の眠りにつく日まで

「これ…って…。」

「王位継承者の証のペンダントよ。」



そう微笑むと、マーテルの顔から次第に笑顔が失われていく。

そして、ペンダントを持ったその手を振るわせる。



「きっと私より、マーテルの方が相応しいわ。」

「どういう、ことだよ…。」

「私、城を出て気が付いたの。いかに自分がルチェルナのことを知らないか。」



そう、私はルチェルナのことを何も知らない。

幼い頃から教え込まれたから知識はもちろん豊富にあったけれど、実際のルチェルナは未だに知らない。


国民がどう暮らしているか、どんな思いを抱えているか。



「マーテルは騎士団の仕事で、国中を回っているでしょう? だから私より、ルチェルナの現状を知っているわ。なんなら私、今となってはルチェルナよりもデネブリスの方が知ってるわ。」

「そんなもん、これから知っていけばいいだろ…!」



私は、ゆっくりと後退した。



「…それも、考えたのよ。でも…、でもね?」



一緒に過ごしたのは、少しの間だったけれど。

私は、知ってしまった。



「私、人を愛するということを知ってしまったの。」

「…リーリア。」

「だから私、ルチェルナに戻ってもマーテルと
結婚出来ないわ。」