「あ、『皇憐-koren-』の愛読ありがとう。発売日に買いに行く程熱心な読者だとは思わなかったけど。」
そう笑うので、私も笑った。
「私もだよ。まさかずっと会いたいと思ってた作者さんが秀明だったなんて。どんなオチ?って感じ。」
「幸い絵の才能があったから、異例の高校生漫画家デビュー! しかも超有名な週刊少年誌! 文字より、絵の方がイメージが伝わるからね。…少しでも、結に届けたかったんだ。」
やっぱり、『皇憐-koren-』は秀明からのメッセージだったんだ。
「…うん、届いたよ。『皇憐-koren-』に出合った時、私、この世界の景色とか光景しか覚えてなくて…。でも中国じゃないし日本じゃないし、妄想癖なのかな?とか思ってたからびっくりした。」
「やっぱり。『桜琳』としての記憶がないのは確実だと思ってたから、何かヒントにでもなればと思ってたんだ。」
「『皇憐-koren-』がなかったら私、自分の記憶を完全否定してたと思う。ありがとう、秀明。」
「良かった。」
『皇憐-koren-』に特別な意図はなかったのかもしれない。ただ“私”に届けたい。その一心だったのかもしれない。
そうだとしたら、私は秀明の意図をきちんと汲み取れていた、と考えて良いんだろうか。
「あ、でも設定はだいぶ違ったね。」
「だって編集さんが、『皇憐がチート!? 主人公守られちゃうの!? これじゃ少女漫画だよ!』って言うから。」
「確かに。」
そう言って、私たちは笑い合った。
それで皇憐は戦えず、主人公が戦う設定になっていたのか。あの設定を鵜呑みにしていた私はとんでもなく焦ったというのに。
それを伝えると、秀明は笑って「記憶がなかったらそうなるよね」と言った。
「じゃあ焔が鬼のリーダーっていう設定も編集さん?」
「そう。キャラデザを渡して、最初は水凪に会いに行くって言ったら、『見た目は完全に焔がリーダーっぽいじゃん! 彼からにしようよ! それで、一筋縄じゃいかないって設定にして〜』って。」
「うんうん。」
「でも水凪を後回しにすると雪が大変でって言ったら、『極寒の地で修行! 強敵に敵わなくて、修行期間入れるみたいな! 極寒の地とか最高じゃない!?』って。」
「いかにも少年漫画っぽいね。」
「そう。だから僕の思惑通りに2人は…というか、特に皇憐は動いてくれたみたいだけど、漫画はそうもいかなくなっちゃってね。」
「しょうがないよ、商売だもん。」
そんな裏話を聞いて、私は1つ息を吐いた。
そう笑うので、私も笑った。
「私もだよ。まさかずっと会いたいと思ってた作者さんが秀明だったなんて。どんなオチ?って感じ。」
「幸い絵の才能があったから、異例の高校生漫画家デビュー! しかも超有名な週刊少年誌! 文字より、絵の方がイメージが伝わるからね。…少しでも、結に届けたかったんだ。」
やっぱり、『皇憐-koren-』は秀明からのメッセージだったんだ。
「…うん、届いたよ。『皇憐-koren-』に出合った時、私、この世界の景色とか光景しか覚えてなくて…。でも中国じゃないし日本じゃないし、妄想癖なのかな?とか思ってたからびっくりした。」
「やっぱり。『桜琳』としての記憶がないのは確実だと思ってたから、何かヒントにでもなればと思ってたんだ。」
「『皇憐-koren-』がなかったら私、自分の記憶を完全否定してたと思う。ありがとう、秀明。」
「良かった。」
『皇憐-koren-』に特別な意図はなかったのかもしれない。ただ“私”に届けたい。その一心だったのかもしれない。
そうだとしたら、私は秀明の意図をきちんと汲み取れていた、と考えて良いんだろうか。
「あ、でも設定はだいぶ違ったね。」
「だって編集さんが、『皇憐がチート!? 主人公守られちゃうの!? これじゃ少女漫画だよ!』って言うから。」
「確かに。」
そう言って、私たちは笑い合った。
それで皇憐は戦えず、主人公が戦う設定になっていたのか。あの設定を鵜呑みにしていた私はとんでもなく焦ったというのに。
それを伝えると、秀明は笑って「記憶がなかったらそうなるよね」と言った。
「じゃあ焔が鬼のリーダーっていう設定も編集さん?」
「そう。キャラデザを渡して、最初は水凪に会いに行くって言ったら、『見た目は完全に焔がリーダーっぽいじゃん! 彼からにしようよ! それで、一筋縄じゃいかないって設定にして〜』って。」
「うんうん。」
「でも水凪を後回しにすると雪が大変でって言ったら、『極寒の地で修行! 強敵に敵わなくて、修行期間入れるみたいな! 極寒の地とか最高じゃない!?』って。」
「いかにも少年漫画っぽいね。」
「そう。だから僕の思惑通りに2人は…というか、特に皇憐は動いてくれたみたいだけど、漫画はそうもいかなくなっちゃってね。」
「しょうがないよ、商売だもん。」
そんな裏話を聞いて、私は1つ息を吐いた。



