「そういや木通。」
「何だい。」
「お前さっきのアレ、結局なんだったんだ?」
無神経な皇憐の質問に、私はどうしていいか分からず話の行方をただ見守ることにした。
「月のものがきたのさ。…1000年ぶりにね。」
木通が平然と答えたので、私はホッと胸を撫で下ろした。
そうだ。女子高校生の感覚であれば男性とこんな話をするのは憚られるが、もう皆、1000年以上生きているんだった。
「っつーことはお前…。」
「多分、不老不死じゃなくなったね。」
その言葉を聞いて驚いていたのは、鬼の皆だった。
桜琳だった頃、初めて出会ったときに私は木通からあるとき突然生理が止まったと既に聞いていた。そのとき、自分が外見以外も普通ではないと気が付いたのだ、と。
「お、俺らも年を取るのか!? 大人になるのか!?」
「一気に老けなかっただけありがたいと思わねばならぬな…。」
「一気に老けたら…死ぬ…。」
か、会話が不吉すぎる…!
そんな中1人、焔は嬉しそうに微笑んでいた。
「焔…?」
不思議に思って声を掛けると、焔はハッと我に返った後、苦笑しながら言った。
「…やっと、愛した女と一緒に人生を歩めるのかと思うと、嬉しくてな…。」
「焔…。」
「よかったじゃねぇか。」
皇憐にそう言われ、焔は柔らかく笑って頷いた。
「では私も、そうするとしよう。」
唐突な水凪の発言に、その場が再び一気に静まり返った。
水凪は座っていた席から立ち上がると、木通のもとへと向かった。木通はというと、一気に赤面してあわあわしていた。
「木通、待たせてすまぬ。」
「待たせてって…!」
「1000年もの永きに渡り、私に愛を伝え続けてくれた。感謝する。」
「ちょっ、バラすんじゃないよ…!」
「良いではないか。…私と、夫婦になってくれぬか。」
「っ…! もっと、雰囲気ってもんはないのかい…!」
「ふふ、ない。」
そう言い合いながらも、幸せそうな2人を見て私は嬉しくなった。
…と同時に、自分の鈍さに落胆した。どうやら木通が水凪に想いを寄せているのは、私が桜琳だった頃から一目瞭然だったらしく。当時全くそれに気付いていなかったのは私だけだったらしい…。
「なんだよ皆して! 空はそういうのないよな! な!」
机に身を乗り出す勢いで空に訊ねる金言は、自分だけ何もないのが嫌なようだ。
けれど空はそんな金言の期待を裏切り、ふいっとそっぽを向いた。
「空、今皇太子と恋仲…。」
それを聞いて、その場に居た全員に何度目かの沈黙が訪れた。
「は、はぁああぁぁああ!?」
「金言…うるさい…。」
「皇太子って! お前!」
ポッと頬を染める空が可愛くて、そしてそれが何よりの裏付けだった。
「じゃあ、空は私たちの子孫になるのかな。」
「そうなるんだろうね。」
「…不思議。」
私と秀明は、顔を見合わせると笑い合った。
そうして祝宴は何だかんだと盛り上がり、皆が寝静まったのは朝方だった。
「何だい。」
「お前さっきのアレ、結局なんだったんだ?」
無神経な皇憐の質問に、私はどうしていいか分からず話の行方をただ見守ることにした。
「月のものがきたのさ。…1000年ぶりにね。」
木通が平然と答えたので、私はホッと胸を撫で下ろした。
そうだ。女子高校生の感覚であれば男性とこんな話をするのは憚られるが、もう皆、1000年以上生きているんだった。
「っつーことはお前…。」
「多分、不老不死じゃなくなったね。」
その言葉を聞いて驚いていたのは、鬼の皆だった。
桜琳だった頃、初めて出会ったときに私は木通からあるとき突然生理が止まったと既に聞いていた。そのとき、自分が外見以外も普通ではないと気が付いたのだ、と。
「お、俺らも年を取るのか!? 大人になるのか!?」
「一気に老けなかっただけありがたいと思わねばならぬな…。」
「一気に老けたら…死ぬ…。」
か、会話が不吉すぎる…!
そんな中1人、焔は嬉しそうに微笑んでいた。
「焔…?」
不思議に思って声を掛けると、焔はハッと我に返った後、苦笑しながら言った。
「…やっと、愛した女と一緒に人生を歩めるのかと思うと、嬉しくてな…。」
「焔…。」
「よかったじゃねぇか。」
皇憐にそう言われ、焔は柔らかく笑って頷いた。
「では私も、そうするとしよう。」
唐突な水凪の発言に、その場が再び一気に静まり返った。
水凪は座っていた席から立ち上がると、木通のもとへと向かった。木通はというと、一気に赤面してあわあわしていた。
「木通、待たせてすまぬ。」
「待たせてって…!」
「1000年もの永きに渡り、私に愛を伝え続けてくれた。感謝する。」
「ちょっ、バラすんじゃないよ…!」
「良いではないか。…私と、夫婦になってくれぬか。」
「っ…! もっと、雰囲気ってもんはないのかい…!」
「ふふ、ない。」
そう言い合いながらも、幸せそうな2人を見て私は嬉しくなった。
…と同時に、自分の鈍さに落胆した。どうやら木通が水凪に想いを寄せているのは、私が桜琳だった頃から一目瞭然だったらしく。当時全くそれに気付いていなかったのは私だけだったらしい…。
「なんだよ皆して! 空はそういうのないよな! な!」
机に身を乗り出す勢いで空に訊ねる金言は、自分だけ何もないのが嫌なようだ。
けれど空はそんな金言の期待を裏切り、ふいっとそっぽを向いた。
「空、今皇太子と恋仲…。」
それを聞いて、その場に居た全員に何度目かの沈黙が訪れた。
「は、はぁああぁぁああ!?」
「金言…うるさい…。」
「皇太子って! お前!」
ポッと頬を染める空が可愛くて、そしてそれが何よりの裏付けだった。
「じゃあ、空は私たちの子孫になるのかな。」
「そうなるんだろうね。」
「…不思議。」
私と秀明は、顔を見合わせると笑い合った。
そうして祝宴は何だかんだと盛り上がり、皆が寝静まったのは朝方だった。



