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「成功したの…?」
「うん。」
周りを見回すと、降って来た怨霊たちは光の柱に吸収され天へ昇っていった。
「皇憐は…!」
あんなに怨念の塊に巻き付いていたのだ。この光の柱ももろに浴びているに違いない。
「成仏しないよね!?」
「理論的にはね…。」
私はただ、細くなっていく光の柱を見つめ続けていた。
「……秀明。」
「…何? 焔。」
秀明は焔を振り返ることなく、返事をした。こんな態度は珍しいと不思議に思っていると、焔の口から発せられた言葉に衝撃を受けた。
「何かあったら分かるよう、『焼印』を付けていたんだが……、彩雲が逝った。」
「…そっか。」
「え…?」
彩雲が…?
「どういうこと…!?」
掴みかかる勢いで秀明に問うと、秀明はただ表情を曇らせた。焔の言葉が信じられなくて、焔を振り返るとまた衝撃を受けた。
「焔…紋が…!」
「あぁ…。」
焔の顔や首にあった赤い紋が消えていた。
他の皆を見回すと、皆複雑そうに微笑んで紋があった箇所を見ていた。皆、紋が消えている。
「さっき怨霊が光の柱に吸収される時に、俺ららの体の紋も光の柱に吸収されてったんだ!」
「皆は大丈夫なの…? なんで…彩雲だけ…。」
困惑する私に、秀明は顔を背けたまま言った。
「彩雲は後天的に鬼化した、霊力を持つ人間。本来ならもう死んでるはずなのに、怨念と霊力が体内でぶつかり合うことで生まれる力を糧にして生きていたんだよ。…いや、“生かされていた”、というべきかもしれないね…。」
「じゃあ…。」
「そう。霊力だけが残ったら、ただの人間だからね…。それが…自然の摂理だから…。」
そう言って、秀明は俯いた。
彩雲は私たちを見送る時にずっと泣いていた。あれは、自分で分かっていたからなんだ。
「そんなっ…。分かってたらっ、連れて来たのに…!」
手で口元を覆って、耐え切れず涙をボロボロと零した。
きっと憧れ、敬愛していた秀明に会いたかったに違いない。他の皆にも、会いたかったに違いない。
私だってもっと一緒に居たかったのに…! 沢山話をして、もっと笑い合って…。
「結…。彩雲は選んだ。愛した女に、看取られることを。アイツの決意を…汲んでやってくれ。」
「焔…。」
彩雲にも好い人がいるという話をしたことを思い出した。
「そ、っか…。そっかぁ…。」
同じ時を生きられないと分かっていたから。最期の時を、一緒に過ごしたのか。
「焔も彩雲もすごいなぁ…。」
そう涙を零したまま笑うと、焔は苦笑した。
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「成功したの…?」
「うん。」
周りを見回すと、降って来た怨霊たちは光の柱に吸収され天へ昇っていった。
「皇憐は…!」
あんなに怨念の塊に巻き付いていたのだ。この光の柱ももろに浴びているに違いない。
「成仏しないよね!?」
「理論的にはね…。」
私はただ、細くなっていく光の柱を見つめ続けていた。
「……秀明。」
「…何? 焔。」
秀明は焔を振り返ることなく、返事をした。こんな態度は珍しいと不思議に思っていると、焔の口から発せられた言葉に衝撃を受けた。
「何かあったら分かるよう、『焼印』を付けていたんだが……、彩雲が逝った。」
「…そっか。」
「え…?」
彩雲が…?
「どういうこと…!?」
掴みかかる勢いで秀明に問うと、秀明はただ表情を曇らせた。焔の言葉が信じられなくて、焔を振り返るとまた衝撃を受けた。
「焔…紋が…!」
「あぁ…。」
焔の顔や首にあった赤い紋が消えていた。
他の皆を見回すと、皆複雑そうに微笑んで紋があった箇所を見ていた。皆、紋が消えている。
「さっき怨霊が光の柱に吸収される時に、俺ららの体の紋も光の柱に吸収されてったんだ!」
「皆は大丈夫なの…? なんで…彩雲だけ…。」
困惑する私に、秀明は顔を背けたまま言った。
「彩雲は後天的に鬼化した、霊力を持つ人間。本来ならもう死んでるはずなのに、怨念と霊力が体内でぶつかり合うことで生まれる力を糧にして生きていたんだよ。…いや、“生かされていた”、というべきかもしれないね…。」
「じゃあ…。」
「そう。霊力だけが残ったら、ただの人間だからね…。それが…自然の摂理だから…。」
そう言って、秀明は俯いた。
彩雲は私たちを見送る時にずっと泣いていた。あれは、自分で分かっていたからなんだ。
「そんなっ…。分かってたらっ、連れて来たのに…!」
手で口元を覆って、耐え切れず涙をボロボロと零した。
きっと憧れ、敬愛していた秀明に会いたかったに違いない。他の皆にも、会いたかったに違いない。
私だってもっと一緒に居たかったのに…! 沢山話をして、もっと笑い合って…。
「結…。彩雲は選んだ。愛した女に、看取られることを。アイツの決意を…汲んでやってくれ。」
「焔…。」
彩雲にも好い人がいるという話をしたことを思い出した。
「そ、っか…。そっかぁ…。」
同じ時を生きられないと分かっていたから。最期の時を、一緒に過ごしたのか。
「焔も彩雲もすごいなぁ…。」
そう涙を零したまま笑うと、焔は苦笑した。



