皇憐を封印した秀明。そして封印が弱まるこのタイミングで召喚を行うよう指示した秀明。そして言い伝えまで…。
今の私は、完全に秀明の手の平の上で踊らされている。
しかも、この胡散臭い言い伝えを皆神託か何かのようにありがたがっている…。誰も何も疑っていない。
私はゾッとした。このまま言い伝え通りに進んでいいの? 秀明は、私に何をさせようとしているの…? 行き着いた先に、何が待つというの…。
蒼ざめた私に気付いてか、皇憐が私の頭に手を乗せた。
「大丈夫だ。」
「皇憐…。」
「秀明は賢帝と言われる程の皇帝だった男だ。」
「え…。こ、皇帝だったの!?」
「あぁ。桜和国第3代皇帝だ。だから、お前が何考えてんだか知らねぇが、大丈夫だ。」
いつものように笑う皇憐を見て、少し安心した。
(…そうだよね。)
ただ怖がって立ち止まっていても仕方がない。怖いけれど、進むしかない。きっと進んだ先にしか、答えはないから。何より、進まなければ恐らくこの国に未来はない。
「…皇憐。」
「ん?」
「側に…、ずっと、側に居てね。」
恥ずかしくて俯きがちにそう言うと、一瞬キョトンとしてから皇憐は満面の笑みで「当たり前だ」と返してくれた。
怖いけれど、皇憐が隣に居てくれればきっと頑張れる。大丈夫、進める。
「…で、水凪は本当に来ねぇのか?」
「うむ。私は旅はあまり好まぬ上、あそこの主とは折り合いが悪いゆえ。」
「あの…水凪さん?」
「なんだ?」
「いえ、何でもないです…。」
満面の笑みでここまで言われてしまっては、とりつく島もない。どんだけ自由なの。誰この鬼たち自由にやらせてた人たち。伸び伸びしすぎでしょ。
チラリと空に視線を向けると、私の視線に気が付いた空にすぐに先手を打たれてしまった。
「空、仕事…。」
「あ、はい…。」
なるほど、こりゃ皇憐と二人旅だ。諦めて苦笑しながら皇憐の方を見ると、皇憐は出発する気満々ですでに荷物を担ぐ勢いだ。まぁ皇憐との旅は快適だし、歩くのは大変だけど、何も苦はない。
「よし! 皇憐!」
「ん?」
「服装確認お願いします!」
私は皇憐の前で回って見せた。
これから行くのは西の地方。北に比べれば温かいが、この国で2番目に早く冬が来る地域らしい。北の地域の季節の進み具合からすると、西の街はすでに雪が降っている可能性が高いとのことだ。
「よし!」
「ありがとうございます!」
「それじゃ、行くか!」
皇憐は荷物を担ぐと、楽しそうに笑った。
例の如く、今日も私は手ぶら。私の着替えは前回同様、皇憐が担いだ荷物の中だ。分けて持とうとしたら、余計なことをするなと怒られた。体力を温存するために、少しでも身軽でいろとのことだ。至せり尽くせりすぎて、感謝に絶えません。
皇帝と皇后にも挨拶を済ませると、前回同様、城門から外へと出た。城門で見送ってくれた空と水凪に手を振って、前回とはまた違った気持ちで街へと踏み出した。
今の私は、完全に秀明の手の平の上で踊らされている。
しかも、この胡散臭い言い伝えを皆神託か何かのようにありがたがっている…。誰も何も疑っていない。
私はゾッとした。このまま言い伝え通りに進んでいいの? 秀明は、私に何をさせようとしているの…? 行き着いた先に、何が待つというの…。
蒼ざめた私に気付いてか、皇憐が私の頭に手を乗せた。
「大丈夫だ。」
「皇憐…。」
「秀明は賢帝と言われる程の皇帝だった男だ。」
「え…。こ、皇帝だったの!?」
「あぁ。桜和国第3代皇帝だ。だから、お前が何考えてんだか知らねぇが、大丈夫だ。」
いつものように笑う皇憐を見て、少し安心した。
(…そうだよね。)
ただ怖がって立ち止まっていても仕方がない。怖いけれど、進むしかない。きっと進んだ先にしか、答えはないから。何より、進まなければ恐らくこの国に未来はない。
「…皇憐。」
「ん?」
「側に…、ずっと、側に居てね。」
恥ずかしくて俯きがちにそう言うと、一瞬キョトンとしてから皇憐は満面の笑みで「当たり前だ」と返してくれた。
怖いけれど、皇憐が隣に居てくれればきっと頑張れる。大丈夫、進める。
「…で、水凪は本当に来ねぇのか?」
「うむ。私は旅はあまり好まぬ上、あそこの主とは折り合いが悪いゆえ。」
「あの…水凪さん?」
「なんだ?」
「いえ、何でもないです…。」
満面の笑みでここまで言われてしまっては、とりつく島もない。どんだけ自由なの。誰この鬼たち自由にやらせてた人たち。伸び伸びしすぎでしょ。
チラリと空に視線を向けると、私の視線に気が付いた空にすぐに先手を打たれてしまった。
「空、仕事…。」
「あ、はい…。」
なるほど、こりゃ皇憐と二人旅だ。諦めて苦笑しながら皇憐の方を見ると、皇憐は出発する気満々ですでに荷物を担ぐ勢いだ。まぁ皇憐との旅は快適だし、歩くのは大変だけど、何も苦はない。
「よし! 皇憐!」
「ん?」
「服装確認お願いします!」
私は皇憐の前で回って見せた。
これから行くのは西の地方。北に比べれば温かいが、この国で2番目に早く冬が来る地域らしい。北の地域の季節の進み具合からすると、西の街はすでに雪が降っている可能性が高いとのことだ。
「よし!」
「ありがとうございます!」
「それじゃ、行くか!」
皇憐は荷物を担ぐと、楽しそうに笑った。
例の如く、今日も私は手ぶら。私の着替えは前回同様、皇憐が担いだ荷物の中だ。分けて持とうとしたら、余計なことをするなと怒られた。体力を温存するために、少しでも身軽でいろとのことだ。至せり尽くせりすぎて、感謝に絶えません。
皇帝と皇后にも挨拶を済ませると、前回同様、城門から外へと出た。城門で見送ってくれた空と水凪に手を振って、前回とはまた違った気持ちで街へと踏み出した。



