「もう結構街から離れたね…。」
「やっぱり外は良いなぁ。」


1000年ぶりの外を満喫する龍を放っておいて来た方を見やると、街はすでにかなり小さくなっていた。ずっと坂道を登ってきたため、ここからだと街を一望できる。首都だけあってかなり大きな街だったようだ。


「ねぇ、本当に荷物全然持たなくていいの?」


今現在、私は手ぶら。暑くなって脱いだ上着だけを手に持っていた。


「ん? あぁ、俺は人間じゃねぇからな。お前らとは重さの基準が違うから問題ねぇよ。」
「そう…。ありがとう。」


笑顔で言うあたり、本当に皇憐にとっては重くないんだろう。どう見ても重そうなのだが、実は軽いんだろうか。

そういえば、まだ中身を聞いていなかった。


「そういえば、荷物って何を持って来たの?」
「食料だろ、布団だろ、料理道具だろ、あとは縄とか細けぇ物と、お前の着替えだ。」
「…え?」
「ん?」
「私の…?」
「おう。」
「………。」


私はその場に呆然と立ち尽くした。

そうだよねそうだよねそうだよね!? 私ボンヤリしてた! 着替え! 必要だよね!


「安心しろ。お前の下着肌着、服、全部入ってっから。」


振り返った皇憐は笑顔でそう言った。

私はその場に膝から崩れ落ちた。推しに…下着や肌着を…用意してもらった…? 女子高校生にはキツいわ…。


「お、俺は触ってねぇし見てねぇぞ!」
「え!?」


私は勢い良く顔を上げた。私の反応を見て、皇憐は慌てたように付け足した。


「お前の服関係は、女官が用意した物だ! 指示したのは俺だが、中身が見えないよう包まれた物を荷物に突っ込んだだけだ。」


私はそれを聞いて心底安心した。恐らく物凄い笑顔になっていることだろう。涙が出るほど嬉しい。女官さん、グッジョブ…!

私は気を取り直して皇憐の後を追いかけた。