とりあえず、様子を伺いながらそう尋ねてみると女は酸素マスクの中で口をパクパクとさせた。

「…」

なんだ……?

なんか言いたがってる…みたいだが、
よく分からなかった。

てか女にしたら1週間ぶりに目覚めた、って事になるのか?

「…」

てか、まだパクパクしてるし…。

金魚みたい。

騒ぎ出さないだけまだマシだが……どーすっかな…。なんて考えていると……

ーーガラー…

病室の扉が開いて誰かが入ってきた。

昨日の看護師か!?と思ったが違う。

「あら?どなた…?」

ダウンジャケットを羽織った年配の女だった。

……この女の母親か?

「…いや…、、俺はその…」

苦笑いを浮かべながら俺はまた内心焦っていた。

やべー。

娘さん殺しに来ました。

なんて言える訳ねぇしなぁー…。

「…その…、、」

なんて言おうかと、悩み口ごもっていると母親らしき女は表情をはっ、とさせた。

「あ!もしかして…」

何かを思い付いたようにハッ、とした母親は首を傾げながら言った。

「澪奈の彼氏?」

「…え?」

あの看護師に引き続きそんな勘違いを…。

思わぬ問い掛けにキョトン、とする。

しかし…そう思われたのなら再び乗っかろう。