「あっ、そういえば澪奈ちゃん、いっぱいお喋り出来るようになったんだね!」

「うん!出来る!あいうえおー!」

「え!すご〜い!」

「でしょ!ゆずきのとこ行く!」

「あっ、まだ点滴終わってないからもうちょっとねんねしてようね!」

起き上がろうとした女を看護師が慌てて制していた。

「でもゆずき、寂しがり屋さんだから、私が一緒にいてあげなきゃ泣いちゃう!」

誰が寂しがり屋で泣いちゃう、だ!

「えぇ~?そうなのぉ〜?意外~っ」

変な誤解招きやがって……。

「うん!でもゆずきは世界で1番かっこいいのっ」

「わぁ〜。愛がいっぱいでいいねぇ〜」

「うん!ゆずきのとこ行く!」

「あっ、まだ点滴終わってないからもうちょっとねんねし……」

「こら。もうちょい寝てろ、って」

「あ!ゆずきーっ!」

もう俺のとこに来たくて来たくて仕方ないみたいだから姿を現してやった。

すると針がぶっ刺さってない方の手を俺に向けて伸ばした。

……なんだよ。嬉しそうにしやがって。

「あ、柚季くん。澪奈ちゃん、もうすぐで点滴終わるから。終わったら帰って大丈夫だからね〜。薬も出しとくから、しばらくは消化のいい食べ物、食べさせてあげてね~」