目を開けたら、そこは病院だった。

仰向けに寝かされた俺の体は置物みたいにベッドに横たわっている。

口には酸素マスクが装着されていて、腕には点滴が…。

あれ…でも、俺、なんで…

あ……そうだ…。

俺、あいつと死​───────…

その時、右手に違和感を覚え、ゆっくり視線を動かした。

俺がいるベッドの真横の椅子に1人の女が腰掛けていた。

そして俺の手を握っていた。

俺の手よりもずっとちっこくて、暖かくてなんか守りたくなるような手だ…。

女はサラサラな黒髪をベッドに無造作に投げ出し無防備に眠っていた。

……ちょっと、かわいい。

いや。だいぶかわいい。

「西島のバカ野郎……!」

せっかく澪奈の寝顔に癒されていた、というのに、俺の鼓膜には大変不愉快なノイズのような声が届く。

視線を動かせば、ティアラが居た。

「柚季さん起きたんですか!?」

同じ病室に雨もいたようで駆け足で俺の視界に入ってくる。

「ゆーずーきぃーさぁーーーーーん…っ、」

……泣いてるし。