1.

「ヨゾラ、こっちこっち」

あ、ヒヨナが呼んでる、行かなきゃ。

「見てみて、双子の花、見つけた。私たちみたいだね。」

「ほんとだ、とっても仲が良さそうで、私たちみたい。」

ふたりでいつも通り、花がパッと咲いたように明るく笑い合った。


「ヨゾラ、昨日ね......。」

「そうなんだ〜」



「「あ、ヒヨナ、危ない!」」



『ドンっ』





鈍い音が聞こえた。

頭の中に響くような大きな音。

周りが真っ赤に染まっている。

人が倒れているようだ。



「救急車呼んでっ、早く!」


周りからなんか聞こえる気がする。

なんだろう。

頭に中が真っ白になり、何も考えれなくなる。


あれヒヨナは?

どこに行ったんだろう。

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我にかえった時には、歩道の真ん中で立っていた。

そういえばヒヨナは?

近くにいた人に教えてもらい、病院に向かうと、

柔らかい笑顔を浮かべ、眠っているように死んでいた。



学校では、ヒヨナがいなくなったことで、私は1人になった。

いいや、もともとひとりだったんだ。

ヒヨナが私のそばにいてくれただけだったんだ。

もちろん私の周りには誰もいない。


ヒヨナのところによってのところに寄ってきていた"だけ"だったんだ。

最近はよく聞こえる。
クスクスと私を笑っている声。
ニヤニヤと私を蔑んでいるような表情。

今までは聞こえなかったのに。

今まで考えていなかったのに。

あーそっかヒヨナがいてくれたから楽しくてしょうがなかったんだ。

笑っている声なんて聞く暇すらなかったんだ。

くだらない、こんな声が聞こえても私は何も変わらないのに。

ヒヨナがいない、このことだけが私をガラッと変えてしまったんだ。



やっぱり寂しい。ヒヨナガイナイカラ。



「お前のせいで、私の大切なヒヨナが、お前のせいで、お前のせいで、、、」
ヒヨナがいたから、お母さんも笑っていてくれたのに。

こんなふうに私に手を上げなかったのに。

あぁ、やっぱり家でも変わらない。

こうやって私は必要とされず、生きていくんだ。

あはは、はは。

笑えてきちゃった。
悲しいはずなのになー。

もう何もかも、私の中から消えちゃった。

ヒヨナがいなくなったことでどうでもよくなちゃったんだ。
もう何にもいらない。

死にたい、なんてな。