忘れられないよ君は―初恋だけでは終われない―

 バイトが終わった。

 丈は最後まで来なかった。

「…………」

 亜美は建物を出る。

 スマートフォンを見る。

 何もない。

 胸の奥が重かった。

 幸也にも連絡できない。

 丈からも返事がない。

 どうしたらいいのか。

 まだ分からないまま。

 駅へ向かって歩く。

 途中で。

 足が止まった。

「…………」

 電話なら。

 出てくれるかもしれない。

 丈の名前を押す。

 通話。

 耳に当てる。

 一回。

 二回。

 三回。

 呼び出し音が続く。

「…………」

 出ない。

 四回。

 五回。

 胸が苦しくなる。

 六回。

 やがて。

 通話が切れた。

「…………」

 スマートフォンを耳から離す。

 画面を見る。

 もう一度。

 押しかけて。

 やめた。

 しばらく、その場に立っていた。