二人三脚の準備を始めた。

「走るコース、円になってるな……俺の方が足速いから円の外側になるわ」と言いながら俺の左足と東条の右足を東条が紐で縛る。

「よし、行くぞ! 掛け声は1、2、1、2……な!」
「分かった!」

 東条が仕切り、俺が従う感じでラストの二人三脚が始まった。余裕で勝てるかな?と思っていたけど、高瀬チームが追いついてきた。普段から仲良いふたりはワンツーワンツーと掛け声もピッタリで追いついてくる。

「よし、俺らも本気で行くぞ!」

 東条が言った。

「お、おぅ!」

 今まで俺は本気だったぞ、東条お前は本気じゃなかったのか?なんて心の中で呟きながらも最後の力をふりしぼる。

 生徒たちの席から黄色い声援が沢山聞こえる。今、どっちが勝つか、全校生徒が俺らに注目していた。

 高瀬たちに追い抜かれそうになったけど……。

 ぎりぎり勝ったー!

 テンションが上がった。
 こんなにも気持ちが高ぶったのは珍しかった。

「直月、勝ったな!」

 東条はそう言いながら両手の手のひらをこっちに向けてきた。俺も大きく両手をひらき、東条の手とパチンと合わせた。

 そして目を合わせ、声を出して笑いあった。