野いちご学園高等部の体育祭、リーダー対決。

 その競技で各チームリーダーが相方を指名するタイミングは、リーダー対決が行われる競技のふたつ前の競技後、つまり結構ギリギリだ。

 俺は今、色んな気持ちが交差して、目の前で行われている競技に視線はあるが、全く集中してみることが出来ない。

 東条はなぜ俺を選んだ?

 ちなみに青チームのリーダー、イケメン人気モデル1年の高瀬帷が選んだのは、いつも眠たそうな写真部の2年、珠洲島環だ。

 珠洲島が高瀬のポートレイト写真を撮ったりしていて、仲良さそうなところをたまに見かけるし、珠洲島もそこそこ運動神経がいいから選んだ理由はなんとなく分かる。

 本当に、俺はなぜ仲良くないのに東条に選ばれたんだ?

 東条の仲間に俺よりも運動神経いいやつなんてごろごろいるのに。

 理解出来ん。

『各リーダー及び、指名された生徒は競技場所に移動してください~』

 ついに来てしまったこの瞬間。
 実は冷静を装っているが、ひそかに心臓バクバクだ。

「直月、行くぞ!」

 東条が自ら俺を迎えに来た。
 しかも笑顔で。

 俺は目だけ合わせると、無表情で東条についていく。