直月と朝都~体育祭編✩.*˚野いちご学園高等部

 帰り道、東条とふたりになった。

「今日はごめんな」

 東条が突然謝ってきた。

「なんで謝るんだよ……」
「直月は俺のこと嫌いなのに、競技の相方に選んでさ」

 嫌いとかじゃなくて、校則守らないのが嫌なだけで、助けてもらったり、運動も勉強もなんでも出来るし、後輩を中心に慕われてるし、東条の良いところなんて沢山知ってるし、むしろ東条に対しては憧れが……

「……嫌いじゃねーし」

 東条とは逆の方向を向きながら言った。
 目を合わせられなかったから。

 東条は何も言わなくなって、静かになった。どんな表情か気になってきて、ちらっと東条の顔を見た。

 すごく驚いた顔してこっちを見てた。
 そして「そっか、俺のこと嫌じゃねーのか!」と言いながら思いきり笑いだした。



「服装の乱れとかにこだわりすぎてたのかな? もっとそういうこと、ゆるやかに考えてもいいのかもな……」と俺が呟くと「そうかもな。でも俺も、校則少しは守ろっかな。服装乱れすぎないように気をつけよっかな」と東条は小さな声で言った。


***

 でも次の日、俺は東条に激怒した。なぜなら、いつもは制服のシャツのボタンを上からふたつ外していた東条。なぜか今日は、3つも外していて、いつもよりはだけていたからだ。 

 俺はいつものようにカッと頭に血がのぼってしまい東条に強く言った。

「服装を乱すな!」と。
 そしたら東条は笑いながら玄関に向かっていった。