課長のケーキは甘い包囲網


「まあ、そうだな。お茶を入れるのはようやく合格点をやれるところまで来た」

「ふーん。それ以外も色々仕込むのか?弟子が出来て良かったな、沢島」

「別によくない……」

 ケーキを一口食べた春日課長は叫んだ。

「何だこれ?すごくうまい!?こんなケーキ店にあったっけ?」

「……いや。実は田崎がおととい誕生日だったんだ。それで……ケーキを五年ぶりに焼いてみた」

 春日課長は顔を上げると沢島課長を見て嬉しそうに言った。

「そうか!やったな、沢島!ああ、これでもう大丈夫だ……」

「色々心配かけたな、春日。今更だが……ありがとう……」

「うわ、お前が俺に礼を言うなんて明日は大雨だ。田崎さんのお陰で性格も良くなったのか?」

「……そうなんですか?」

「そうだよ。こいつは可愛くない奴だったんだ。いやあ、田崎さんのお陰だよ」

「そうですか、えへへ、ありがとうございます」