課長のケーキは甘い包囲網


「基本的に誰か来るときには着ていない服です。課長が急に家へ来ちゃったからですよ」

 私は慌てて、服を前に引っ張った。

「そうだ。田崎、お前食べられないものとか苦手な食べ物あるか?あと、嫌いな匂いとか……アレルギーとか……」

「特にありません。変な話、人が食べないような山菜とかも食べます。家の影響で……」

「なるほど。珍味とかも食べるって事だな」

「はい。以前の私の口はけっこう贅沢でした。今、質素ですけどね」

「なるほど。じゃあとりあえず俺のとこに来れば、贅沢とは言わないが、そこそこうまいものを食べられるだろう」

「どういう意味ですか?もしかして、課長って料理得意なの?」

「まあな。俺は製菓学校出身なんだよ。とりあえず一通りの料理も出来る」

「ええ!?ホントなんですか、それ?」

「嘘言ってどうする」