課長のケーキは甘い包囲網


「お前はダメだ。ひとりだとキチンと生活しない。この台所はどういうことだ?未婚女性の台所とは思えないんだが……」

 だ、だって、料理しないし。出来ないし。片付け苦手だし。見ないで欲しかった。

「見ないで下さいよ!」

「今更?遅いわ、とっとと片付けろ。ここは俺がやる」

 そう言うと、持ってきたのか保冷バッグを出して、冷蔵庫から色々と食料を詰め始めた。

 私が困ったように立っているのを見て、じろりと睨む。ひいっ。怖いよ。

「早くしろ」

もはや私が干物女子であることは完全にばれた。

「捨てるものさえない。お前、ほとんど自炊していないんだな。もしかして本当に苦手なのか、料理……」

「はい、そうです」