課長のケーキは甘い包囲網


 伏見さんが言うと、桜井さんもうなずいている。

「そう、そうなんですよ。今もそうですよね。なんかハムスターみたい……その手は何?漫画じゃないんだからバタバタさせないでよ。はー、面白い。また、今日の夜も思い出して笑いそうです、私」

 すると周りの人もそうだよねー、田崎さん面白いよねー、と言って笑い出した。

 なんか、そう言われるとそうなのかなと思うから不思議。でもいいや、みんなを笑顔に出来るなら何でもいい。迷惑かけてしまったし、この際、私は天然というポジションでもいい。

「良かったな、田崎。みんな、お前のこと大好きだぞ。あんなにポカをしても許されるなんて幸せな奴だな、お前」

「やっぱり、課長はちっとも優しくないですね」

 私が言うと、桜井さんがうなずいた。

「本当に、ひと言余計なんですよ。イケメンなんだから笑って終わればいいのにね」

「……何か言ったか?小さい声で言っても聞こえてるぞ、桜井」