「そうです。勘違いしないで下さい。誠司さんこそ、毎日、あんな綺麗な女性と一緒でうらやましいですね」
「どんなに綺麗でも俺は付き合っていない女とふたりで来たりしないぞ。男を入れて三人だっただろ?」
「……それはすみませんでした。でもやっとできた後輩なんですよ。許して下さい。彼にとっては一番歳が近いのは私です。相談しやすかったんですよ」
声が大きくなってしまい、隣の席の人がこちらを見た。恥ずかしい。
「出るぞ」
そう言って、私の腕を引いてレシートを持つと出口へ行き、支払いをしてくれた。
「帰ろう」
急に手を握ってきた。会社の人がいるところでは、普段なら離れて歩いているのに、どういうこと?
「今日俺は決めた。あいつに知られたし、聞かれたら公表しよう。同棲しているんだ、何の問題がある」



