「本当ですか?来週半分払います。すみません。じゃ、田崎さんの彼氏の課長さん、おやすみなさい。田崎さんをよろしくお願いします」
「ああ、支払いは俺が持つから気にするな。気をつけて帰れよ」
荷物を持っていそいそと出て行った川村君を送ろうかと立ち上がった私の腕をグッと引いて椅子に無理やり座らせると彼は言った。
「すみれ。お前、何か言われたんだろ?」
「え?……な、何も言われてない……」
「お前は本当に嘘が下手だな。すぐにその目の動きを見るとわかる。大体、あいつがお前のこと気に入っているらしいっているのは春日から聞いて知っていたんだぞ。警戒しようと思っていた矢先にこれだ。ふたりで飲みに来るとは……」
「だって本当に悩み相談だったの!それに川村君は真面目ないい子だもん。いつも色々やってくれるの。気が利くんだよ」
「ふーん。そう……」



