彼は上司でなくなった。

 そして武田君の下に新しい新人の男の子が入った。女子は相変わらず入らず、私が下っ端のまま。

 でもお茶くみやその他雑用は、この間言っていたとおり、みんなで順番制にしてくれた。

「あ、田崎さん。そのカート僕が運びますよ」

 さっとカートの持ち手を私の手から奪って、荷物の載った重たいカートを引いてくれる。新人の川村君は本当に気を遣えるいい人だ。

「ありがとう。いつも気がついてくれて、優しいよね、川村君」

「武田先輩だってやっていたんですよね?」

「ああ、そうね。昔はね……ここ最近はすっかり忘れられてるかもしれない」

 須田先輩がいなくなってから、武田君はすっかり尊大になった。まあ、言い方悪いけどね。