課長のケーキは甘い包囲網


「そんな感じではまーったくありませんでした。だっておどおどしたところのある人だったんです。男女交際なんて興味なさそうでしたよ」

「男子高校生なんだから、それなりに興味はあるんだよ。ただ、言えなかっただけなんだろう。お前に直接言えないから、考えて持ちかけた見合い話だったんだろうな。今までキチンと断らないからこういうことになる」

 じろりと睨まれた。

「……全くおっしゃるとおりでございます」

「女性相手に前へ出られない性格で、ようやく罠に追い込んだ獲物を追い詰めたところで振り向いて引っかかれたから、頭にきて少しかみついたんだろ?」

「……なるほど。そういうことですか」

「なるほどじゃない!お前、なんて言ったんだ?」

「え?だから、結婚前提でお付き合いしている人と一緒に住んでいてお断りしますって言いましたよ」

「……俺のことは?」