一応、家に連絡しようと携帯電話を開いたときだった。彼からメールが来ていた。そうだ、彼にも言わないとまずい。
『桜井から聞いた。坂田長野ホテルの坂田という人がお前を訪ねてきたと聞いた。もしかして、見合いの相手か?』
すごく心配してくれている。すぐに気づいたんだね。
『アパートへ訪ねてきました。会いましたし、断りましたが、ちょっと心配なので実家に今日だけ帰ります。明日には戻りますので心配しないで下さい』
すると、しばらくして電話がかかってきた。
「はい?」
「お前が帰っても理解してもらえないんじゃないのか?話したのにダメだったから帰るんだろ?何か条件があったんだな?」
すごい勢いで彼が話し出した。
「とりあえず、お父さんと話してみます。大体私がお父さん任せだったのもいけないんです。もうすぐ結婚出来ると思っていたと言われたんです。交際相手がいるといっても自分の方が優先されると思い込んでました」



