「もうここまでで。お支払いはします。遠くまで来て頂いて、申し訳ございませんでした」
彼に向かって頭を下げて、きびすを返した。彼はフォークとナイフを握ったまま固まっていた。追いかけては来なかった。
帰りながらため息しかでなかった。私が悪い。最初からキチンとお父さんと向き合って話していればこんなことにはならなかった。
本気じゃないだろう、立ち消えになるだろうと自分に都合のいい考え方をして逃げていたことが、ここにきてつけが回ってきた。
終わり方も、父任せだったことが全て裏目に出た。これはキチンと話さないとだめだと思った。先週帰ったばかりだが、明後日引越の予定だから、今日中に一度帰ろうかと悩み始めた。
きっと、坂田先輩も帰るとご両親に話してゴタゴタするかもしれない。出店の話は坂田先輩のご両親も巻き込んでるということだよね。見合いというのは本人より家の結びつき。簡単にいかないかもしれないと今頃怖くなってきた。
さっき、坂田先輩と喧嘩別れのような形になったことも、今思えば逆効果だったかもしれない。私は急いでアパートに帰ると、残りの片付けをした。そして、マンションへ戻り急いで一泊分の荷物を持つと駅へ急いだ。



