お母さんがにこにこして先に歩いて行く。イケメンに弱いのよね、相変わらず。お客様もイケメンが来るとにこにこしているし。
「ちょっと、誠司さん、連絡して下さいよ」
「……三時過ぎにしたよ。お前また、メール見てないだろ。まあ、いい。窮地だったんだろ?さすが俺だな。そんなことじゃないかと思ったんだ」
「お父さん、お兄ちゃん、急にすみれの彼氏が来てくれました」
「「は?」」
ふたりは凄い勢いで食卓から顔を上げた。
「お食事時に突然お邪魔して申し訳ありません。本当は明後日の予定でしたが、お兄さんにも出来ればお会いしたかったので……はじめまして、沢島と申します」
彼は、部屋の前で綺麗に頭を下げた。



