「それがどうした?結婚するわけじゃないし、お前には見合い話があると話してないのか?」
「話してあります。だから、日曜日こっちへ会いに来てくれます」
「……父さん。その見合い話の裏は何もないのか?ホテルに進出するとかじゃないのか?」
お兄ちゃんが間に入ってくれた。良かった。お父さんはちろりとお兄ちゃんを見て言った。
「それは別に条件ではない。結婚させる頃にうちの店がどうなっているかはわからなかったし、そっちは考えさせてくれと前から話してある。だが、見合いは御曹司がその気なんだ。すみれのためにとりあえず就職して三年の猶予は与えてくれと言ってあった。すみれにも言ってあったよな」
最初から私の意見なんて聞いてくれてないじゃん。
「……お父さん。すみれのことはすみれの意思に任せましょう。そうじゃないと不幸になります」
お母さんが言ってくれた。
「すみれはその付き合っている男がいいのか?どこのどいつだ?」



