課長のケーキは甘い包囲網


「ああ、お元気だ。父さんによろしくってさ。お酒ももらってきたよ」

「そうか。お前も戻るときに何か持って帰れ」

「ああ、そうする」

「……すみれ」

 お父さんが私をジロッと見た。急に話を振られてびっくり。口の中には唐揚げがいる。

「……ふぁい?」

「お前、縁談をそろそろ進めるぞ。あちらから急かされてね。代替わりさせたいらしいんだ」

「お父さん、その話はお断りします」

 私は箸をおいて、しっかりとお父さんの目を見て言った。

「どうして?」

「お付き合いしている人がいます」