課長のケーキは甘い包囲網


「……」

「すみれ、ちょっと手伝って」

 お母さんはお兄ちゃんにもおつまみとビールを置いて、私をつれて下がった。すごい、唐揚げがある。それに、キノコのカレー?美味しそう。お母さんは基本的に洋食を作る。

「とりあえず、冷蔵庫にサラダもあるから、それとご飯を持っていって。おすいものも残りがあるから食べる?」

「うん、食べる」

「じゃあ、運んで。四人で食べながら話しましょう」

「うん」

 そう言うと、お母さんの代わりにドンドン運んでテーブルに並べた。お兄ちゃんがうまそうと歓声を上げた。

「勝俊、それでお前は予定通り戻れそうか?」

「ああ。春には帰る予定」

「そうか。あちらの師匠はお元気か?」