課長のケーキは甘い包囲網


 俺は冷蔵庫を見に行った。

 これはすごい。料亭で使う食材をもってきたんだな。山菜のあくをとったものがある。

 ゆばとか、これはなんだ?とにかく生ものも結構あるな。

「お前が料理できないのにこんなに持ってきてどういうことだ?お兄さんは料理しようと思って持ってきたんだろ」

「アパートへ戻ったのが昼過ぎで、お兄ちゃんから連絡きてから急いで戻ったんですけど……全部、誠司さんのせいですよ!ばれてしまったんです」

 ばれた?ああ、同棲のことか。

 それはそうだろうな、突然アパートに帰って、それを見せたら長い間住んでいなかったことくらいばれるだろう。

 でも、なんでそれが俺のせいなんだよ。

「俺のせいはいいすぎだな。部屋の状況を見て気がついたんだろ?」

「……違うもん!これのせいだもん!」