課長のケーキは甘い包囲網


「ああ。そうだな、嫌ならとっくに相談してたよ」

「そうなのね。じゃあ、いいのね?」

「もちろん、出来るかどうかはわからない。ブランクもあるし、家で作ってはいたがその程度でやれるかわからん。これからやってみて考えるよ。出来なければ管理職として生きるだけだな」

「誠司は才能あると思うわよ。お前の作るものはやはり血を感じるときがある」

「ありがとう。褒め言葉として受け取っておくよ」

「そうよ、自信持って」

「ああ、父さんにもよろしく」

「はい。気をつけてね」

 俺はその場を後にした。まさか、すみれのほうも色々あったと知ったのは、夕方戻ったときだった。