私は急いで鏡の前に立ち、胸元を見ると赤い斑点が三つも見えた。急いで着替えて出てきたから髪の毛しか見てなかった。
あああ。ダメだ、これは。誠司さんの馬鹿。
その後。私はお兄ちゃんにコーヒーを入れて、とりあえず向き合った。
「ふーん。上司がお前のこの家を心配して部屋を貸してくれた……そんな話信じてついて行ったのか?ホントに馬鹿な奴。最初から囲い込まれただけだろ?すみれはウブだから、やられたんだな」
その言い方はない。でも、概ね事実。さすがお兄ちゃん。
「でも、本当に恋人になったのは最近なの。ずっとタダの同居人だった」
「へえ?家を捜さないでそこにずっといたんだ?すみれがいたかったからか?もしかしてお前が付き合ってくれっていったのか?」
「……違うよ。実は料理を教えてもらっているの。彼は元々パティシエの勉強をしていた人で料理も一通りできるんだ」
「パティシエ?そうか、それでどうして人事部?おかしいだろ?」
「まあ、それには色々理由があってですね。でも、今でもケーキも作るし、あ、すごい美味しいんだよ」



