課長のケーキは甘い包囲網


「……え?お兄ちゃんったら、着いた早々お世辞はいいから、さあ、あがって。何か作ってくれるの?」

 靴を脱いだお兄ちゃんは、おじゃましますといいながら入ってきた。というか、入るほど広くないけど、部屋を見渡した。

「なんか……生活感がないな。お前、いつも汚くしてるのに、きれいじゃないか」

「そう?物をあまり買わないようにしているからかな、あはは」
 
 それはそうでしょう。ほとんど必要品は誠司さんのところへありますので、ここには残り物しかない。

「それにこのアパート駅から遠い。しかも何でお前一階に住んでるんだ?危なすぎるぞ!」

「あ、そ、そうだよね。引っ越ししようかと今探しているんだ……」

「台所は……お前、ここ全然使ってないじゃないか。どういうことだ?全く自炊してないだろう。水の跡さえない。おい、すみれ!」

 ビクッとしてお兄ちゃんを見た。

「あ、最近使ってなくてね、あはは。料理苦手だし、バイト先だったコンビニで買った方が安い……」