課長のケーキは甘い包囲網


 この匂いで起きたんだ。私ってどこまで食い意地はっているんだろう。

 まあ、しょうがないよね。大好きなんだもん、このケーキ。

 クンクンしていたら、うーんと言う声がして、課長が目を覚ました。

 何を言うべき?彼女とどうなりましたか?いやいや、ここはやっぱり……。

「あの、おはようございます。どうしてここで寝ているんですか?」

「……お前こそ、どうしてここにいる?まだ、早いだろ」

 まぶしそうにして窓を見ている課長。

「だって、いい匂いなんです。このケーキの匂い私の大好きなケーキと同じです」

「そうか。それはそうだろ。同じもの作ったんだからな」

「やっぱり店のフルーツケーキなんですね?作り方知っているんですか?材料とか……」