「それはまだ、そういうんじゃない。田崎を追い詰めないでくれ」
「もちろんだよ。でも、お前もその気があるんだろ?彼女、素直で可愛いな。表情もくるくる変わるし、一生懸命だし。お前いらないなら、俺が……」
俺は驚いて机を叩いた。
「ふざけんな!あいつは俺のもんだ!」
まずい、言わされたと気がついたときには遅かった。少しアルコールも入って朝から歩いて疲れていたせいもある、気が緩んだ。
「ハイハイ、わかってる。良かったよ、本当に。お前が自分から好きになれる子が身近にいてさ。大切にしてやれよ。ただし、順番を間違えるなよ?結構ウブだろ、あの子」
「お前、どうしてそんなにあいつのこと知ってるんだ?」
つい、威嚇するような低い声が出た。春日は面白そうに俺を見た。



