「…新規の患者さんか。」
私行きます、とカルテを見る。
腕を痛めているようだ。
男性で35歳。
働き盛りなのに大変だなぁと思ってしまう。
「館山真一さん、中にどうぞー」
定位置に案内して、カルテに沿って話しながらやっていく。
「右腕…手首のリハビリを行います、佐々木優子です。よろしくお願いいたします。
どういう動作が一番痛いですか?」
「…こうかな?手首を回転させると痛い。
あと、床から立つときに手の着き方悪いと痛いです」
ふたりで確認しながら、電気機器の治療をしたり周囲のマッサージを行う。
「一応、捻挫扱いになっていて、骨がどうという診断ではなかったので…痛いうちにリハビリをガッツリすると悪化するので、機械の治療と、手首回りのマッサージから始めます」
医療用語がたくさん入らないように説明していく。
結構失礼だけど、この年代の患者さんで話を明らかに流して聞く、はいはいと終わらせる、ちゃんと聞いてないって人もいる中…
この人はきちんと話を聞いてくれている。
目を合わせて聞いてくれるので、こっちも気恥ずかしいけど、きちんと目を合わせて説明する。


