きっと、君に怒られるだろうけれど



勇気を出して言葉にしてみたのに西神の反応は俺が予想していたものより随分と冷めた反応だった。


「いや、いきなりごめん。ちょっと気になってさ」


なんて、少し温度の下がった空気を必死に戻そうとおどけたように笑って誤魔化す。

確かに特に仲良くもなく、今日初めて話すような奴にいきなり好きな人はいるのかというデリケートな話題をぶつけた俺が百パーセント悪い。


「お前はどうなんだ?」

「俺?俺はいるよ。あ、これ内緒な」


まさか自分に返ってくるとは思っていなかったから少し動揺しながらも素直に答えた。

すると、西神は俺の瞳をじっと見つめるなり「ふーん」とだけ言った。

長い前髪の間から覗いてる西神の瞳は氷のようでひどく温度がないのに、その目に見つめられるとなぜだか魂が抜き取られてしまいそうな感覚に陥るから不思議だ。


「ふーんってなんだよ!」

「いや、なんでもない。まあ、安心しろ。俺には好きな人なんていないし、これからそんな人が現れる予定もないから」